日本史日誌

いまは旅行記で精一杯だけど・・・

平城京の落日/栄原永遠男 編/清文堂出版

平城京の落日 (古代の人物)

平城京の落日 (古代の人物)


「古代の人物」シリーズ全六巻の第3巻。分厚いハードカバーで持ち運びに不便なので、5ヶ月ほど本棚に眠らせておいたのですが、いよいよ観念して1週間かけて読了。


Ⅰ部は、宇佐八幡神託宣事件(道鏡事件)についてかなり触れています。個人的にも興味のあるテーマですが、結局納得できる見解には至れず。やはり一筋縄ではいきそうにない。今後の研究に期待しよう。


Ⅱ部は藤原氏一門について。藤原豊成の章がお気に入りです。「地味・温厚・凡庸・無能」といった烙印を押されてそれで片づけられがちな、せいぜい実弟の藤原仲麻呂恵美押勝)との対比される程度で、これまで注目されることの少なかったこの人物の再評価を試みています。武官一筋に勤め上げてきたことや、政治的包容力への着目などが興味深いです。