井伊直弼/母利美和/吉川弘文館
- 作者: 母利美和
- 出版社/メーカー: 吉川弘文館
- 発売日: 2006/05/25
- メディア: 単行本
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- 1、井伊家庶子としての成長
- 2、茶の湯観の形成と武士道観
- 3、世嗣としての江戸出府
- 4、政治意識の形成
- 5、彦根藩主井伊直弼
- 6、藩政改革と人材登用
- 7、溜詰大名としての意思決定
- 8、安政期の幕政と大老井伊直弼
- 9、大老直弼の政治展開
『幕末維新の個性』シリーズの第6弾。
井伊直弼といえば、評価のベクトルが両極端に分かれる人物ですが、彼の性格については「剛毅果断」というイメージで共通しています。
本書では彦根藩の史料をもとに、その従来のイメージに対して異議を唱えています。
彼が秩序主義者であり、しかもその秩序に縛られて専権を振るえなかったことや、日米修好通商条約締結に際して、彼の意は引き伸ばしにありながら、それを厳命できず、調印の言質を与えてしまったり、またその折、諸大名に諮らなかったことを側近に指摘されて、それに気付かなかったことを後悔、挙げ句に辞意を漏らすなど、トホホですが逆に親しみのもてる等身大の人物像を浮き彫りにしており、興味深い内容です。