日本史日誌

いまは旅行記で精一杯だけど・・・

王朝の変容と武者/元木泰雄 編/清文堂出版

王朝の変容と武者 (古代の人物)

王朝の変容と武者 (古代の人物)


まったりと読み進めています。
それにしても分厚くて重い。持ち運びには不便な本です。そもそも持ち歩いて読むような本ではないのかも。値段はお手頃*1なんですけどねー。


本書は「古代の人物」シリーズ全六巻の最終巻。まー、最終巻とはいっても変則刊行ということで、本書が最初に刊行されているんですが。で、そのシリーズの一冊ということで、内容は複数の人物論をまとめたものとなっとります。
人物叢書」や「ミネルヴァ日本評伝選」などをもう少しライトにしたって感じですかね。それでかつ何人分かをまとめて、タテヨコの繋がりを持たせているので、その時代の背景も見えてくるっていうか何ていうか、そんな感じです。なかなか面白い企画じゃないでしょうか。


平板になりやすい個々の人物論も刺激に富んでいる。藤原実資藤原行成の2人に関しては、従来の画一的な評価*2に対するアンチテーゼというか、学術的に再検討したうえで疑義を呈しています。
んー、人物評価って難しい。どうしても一面的になりやすいですもんねぇ。


あとは、東三条院詮子の章を読んで「女院」への興味が。普段(?)何気なく使用している「女院」という歴史用語ですが、実のところあまり理解していなかったもので。とりあえず、太上天皇に準じた地位であるということを認識。女の院(太上天皇)ということだから、特に難しいこともないか。

*1:普通の学術書でこの厚さ(463p)なら、かなりお高くなること受けあい。

*2:藤原実資については、藤原道長のライバル・硬骨漢など。藤原行成については、藤原道長のブレーンとして積極的に支えたとする。