日本史日誌

いまは旅行記で精一杯だけど・・・

戦国大名の日常生活/笹本正治/講談社選書メチエ

戦国大名の日常生活 (講談社選書メチエ)

戦国大名の日常生活 (講談社選書メチエ)

  • 第1章、日の出―家督相続と家臣
  • 第2章、戦う―時代を生き抜く
  • 第3章、治める―公としての統治
  • 第4章、家族―心の絆
  • 第5章、日々の暮らし―日常の決まり
  • 第6章、落日―それでも滅亡した武田家


武田信虎武田信玄武田勝頼の甲斐武田家三代を題材にして、領国統治に悪戦苦闘する戦国大名の姿を浮き彫りにしています。


さて目下のところ甲斐武田家について最大の関心事は、先週の『その時歴史が動いた*1で興味を持った滅亡への過程と原因。
ただ本書では、武田信虎以来の家臣団掌握に対する苦労を描いてきた、その延長線に武田家瓦解も位置付けられ、利ある方へ付くという当時の主従関係のあり方から、簡単に説明しているのみ。
勿論この説明に異議はなく、説明が簡単なのもこの件が本書のメインテーマではないので仕方はない。


しかしそれはそれとして、その説明だけでは理解しきれない特異さが武田家滅亡にはあるように感じるのだが。
他の戦国大名の滅亡やその後の豊臣公儀による征討戦をみても、武田家のように大した戦闘を交えぬまま瞬時に領国崩壊した例はちょっと思い浮かばない。瞬時といえば越前朝倉氏の滅亡が当てはまるかと思うが、朝倉氏の場合は小谷城から退却する際に追撃を受けて大打撃を蒙っており、その点が武田家の場合と異なる。
まだ単純な比較検討しかしていないので、他に同じような事例があるかもしれない。もう少し色々比較してみる必要がありそう。