保元・平治の乱を読みなおす/元木泰雄/日本放送出版協会
- 作者: 元木泰雄
- 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
- 発売日: 2004/12
- メディア: 単行本
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- 第五章 闘いの終息−平治の乱の結末
読了しまスタ。
藤原信頼打倒を平清盛が主導したのでないことだけは分かった。信西だけでなく信頼とも姻戚関係にあった平家は対立する存在ではなかったのだ。
しかしそうなると一体だれが主導したといえばいいのだろう? 二条天皇近臣らと平清盛の橋渡しをした内大臣三条公教と理解してよいのだろうか。どうもいまひとつしっくりこないのは何故だろう。彼の行動理由がよくわからないせいかもしれない。藤原信西の長男を婿としていたための憤激からなのだろうか。とりあえず、この人が乱の翌年にポックリ逝ってしまっているのも影響しているかもしれない。
なんにせよその分かりにくさが、平清盛を信頼打倒の主人公に押し上げ、ひいては源平対立へと分かりやすい構造へ置き換える方向へ進んだのだと思う。『義経』で源平の対立・合戦ということ以外に何ら取り上げられないのもその結果といえよう。
で、実際はといえば本書のいうように「あくまでも貴族政権の内紛」であり、信西・信頼・経宗・惟方らが次々に台頭しては自滅していき、その結果政権争いから距離をとっていた平清盛が唯一の武家棟梁となったこともあって急速な昇進を遂げていったと、だいぶ頭の中が整理できてきた。