日本史日誌

いまは旅行記で精一杯だけど・・・

風林火山 第30回「天下への道」

宇佐美定満緒形拳が満を持して登場。


さてこの宇佐美定満、ドラマでは謙信の軍師となるようで、つまり山本勘助のライバルとして位置づけられているわけですが、勘助同様に実体の伴ったものではなく、虚構によって膨らんだ存在です。
彼を軍師として仕立て上げたのは江戸時代初期の軍学書『北越軍記』であり、その著者宇佐美定祐。まあ、このあたりの詳しいことは『異説もうひとつの川中島合戦』で分かりやすく説明されていますので、そちらをご覧下さい(^^;


ただ、ドラマでは『北越軍記』の記す創作からは離れて、なるべく史実との折り合いを付けようという努力が垣間見えます(笑)。
まず名前が『北越軍記』での「宇佐美定行」ではない点。まあこれは大したことではないですけど。
次に『北越軍記』では謙信栃尾城主時代より軍師として仕えていたことになっていますがそれを採らず、宇佐美氏がかつて守護方に付いて長尾為景と戦ったこと、謙信家督相続まで従属していないこととしている点。ただし、上田長尾家に放火された時点では謙信に従属しており、謙信に対して加勢を依頼していますから、「景虎が真に国主に相応しい男か見極めんと」していたなどというのはだいぶ脚色されていますね。
結局のところ、いくら折り合いを付けようとも、実像と虚像のギャップが埋まるはずもありません。