日本史日誌

いまは旅行記で精一杯だけど・・・

新日曜美術館/国宝「伝源頼朝像」の謎を追う/NHK教育

先週放送されたものです。


番組冒頭「義経展」の模様が映し出されました。オッ、なんか懐かしい。


現在は、というか明日までは姫路市兵庫県立歴史博物館で開催しているそうです。


そして展示品の中に、今回の話題となる国宝「伝源頼朝像」(神護寺)があります。ただ、「義経展」で展示しているものは原本ではなく複製のハズですが、その辺の説明はなし。


さて肝心の「伝源頼朝像」のモデル人物が誰なのかということですが、当然足利直義ということで話が進むのだろうと思いきや、美術史がご専門の先生がその様式から足利直義説を否定している。聖徳太子法隆寺問題でもそうなのですが、美術史の方ってどうも保守的なような気がする。というか美術史って素人目には良くわからんことが多いです。
とはいえ、ちゃんと話を聞いてみないことにはつーことで論点をまとめると、「僧侶以外の俗人で、等身大の肖像画が描かれるのは13世紀前半まで」、それから「技法が古風」といったところ。技法については「裏彩色」とか「南宋画」とか説明がありましたが、正直素人にはそれによる年代比定が正しいのかどうか判断はつかない。とりあえず思うのは、新しい技法が前の時代に使われる可能性はないだろうけど、古い技法は後の時代でも使われる可能性はあるんじゃないかなー。んー。


次は足利直義説肯定派の視点による説明。等持院の足利将軍木像が出てきましたよ。ここの木像のうち足利尊氏・義詮・義満の三代は、幕末に平田派浪士によって首を晒されてるんですよねー。木像の梟首というのも何とも趣味が悪いですが、木像の首は着脱式なのでただ引っこ抜かれただけで、斬られたわけでも壊されたわけでもないので安心です。
話がそれましたが、こちらも美術史の先生が登場して、等持院足利尊氏像・足利義詮像と神護寺の伝平重盛像・伝藤原光能像が似ているというご説明。まー、確かに似てるっちゃ似てるのよねん。それだけで・・・とは思うものの、やはり様式論などよりはよほど単純明快。説明している先生もそれを力説。


それから各地の源頼朝像を紹介。鎌倉の白旗神社に祀られていた伝源頼朝木像(東京国立博物館)に、甲斐善光寺源頼朝像。正直、どちらも神護寺蔵の伝源頼朝像には似てない。ここで黒田日出男氏登場。甲斐善光寺源頼朝像こそが真の頼朝像である、と。なんでも、銘などによって確実に(「伝」が付かない)鎌倉時代の源頼朝像といえるのはこれのみだそーな。


結局番組は、謎ということのまま結論を出さずに終了。
個人的には足利直義像であるということの方が納得はいくんですがねー。あの神護寺三像が、源頼朝平重盛・藤原光能・後白河院・平業房の5人の肖像画から何故か2人分が欠けて3人分が残ったと考えるよりは、足利直義が遺した本人・兄・甥の3人であると考える方が格段にスッキリするんですけど。