検証本能寺の変/谷口克広/吉川弘文館
- 作者: 谷口克広
- 出版社/メーカー: 吉川弘文館
- 発売日: 2007/04
- メディア: 単行本
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続けざまに本能寺の変モノを読む。
現在に至るまでの本能寺の変研究の歴史、そして諸説の分類が興味深いし分かりやすい。
さて、本書及び『だれが信長を殺したのか (PHP新書)』を読み終えた今、まず思うのは、黒幕説の役目はもう終わった、ということ。
この十数年、本能寺の変研究は、黒幕説をめぐる議論によって大きく進展しました。すなわち黒幕説は起爆剤として多大な貢献をしたわけで、それはそれで評価すべきなのではありますが、議論が進むにつれて黒幕説の立脚する根拠は崩れ、もはや過去の遺物と化しています。現状では史料の曲解と妄想力で何とか支えられている状態で、よほどのことがない限り黒幕説が復権を遂げることはないでしょう。
となると、そのような黒幕説に拘泥していても、今後大きな研究の進展を望むことは難しいですし、本能寺の変研究はそろそろ新たなステップへと踏み出す時期に来ているのだと思います。いや、もしかしたら私が気付いていないだけで、既にもう踏み出しているのかもしれませんが。