日本史日誌

いまは旅行記で精一杯だけど・・・

【異説】もうひとつの川中島合戦/高橋修/洋泉社新書y

  • 第1部、紀州本「川中島合戦図屏風」を読み解く
    • 第1章、不思議な「川中島合戦図屏風」
    • 第2章、一騎打ち図像から典拠を探す
  • 第2部、軍師から軍学者へ、宇佐美一族の虚と実
    • 第3章、謙信軍師・宇佐美定行の発見
    • 第4章、親子の軍学者、その正体を暴く
  • 第3部、殿様と軍学者の「戦国合戦研究」
    • 第5章、紀州の殿様と軍学者が取り組んだこと
    • 第6章、殿様はなぜ戦国合戦を「研究」させたのか?
    • 終章、「越後流軍学」の末路


紀州藩と越後流軍学による「もうひとつの川中島合戦」像*1。それが創りあげられてゆく過程を、一から暴き出し、解き明かしています。
実証史学の面白さ、凄さを実感させてもらいました。が、最も実感させられたのは、捏造の恐ろしさ。越後流軍学による凄まじいばかりの嘘八百ぶりには脱帽です。系図・軍記は勿論のこと、感状などの一次史料までも捏造しているとは。これらにボロがあったから、偽書・偽文書ということが明らかになりましたが、世の中にはまだ明らかになっていない嘘偽りが数多く潜んでいるかと思うと、恐い恐い・・・。

*1:甲陽軍鑑』による一般的な川中島合戦像とは異なるもの。