日本史日誌

いまは旅行記で精一杯だけど・・・

功名が辻 第35回「北条攻め」

川越散策報告も終わったので、遅ればせながらゆるゆると言及して参ろうかと思います。

人質政策と長丸(徳川秀忠)上洛

諸大名より人質を取る、という話が出ましたが、諸大名の妻子を人質として京中に住まわせるという話はもっと以前のことではなかったか、と思って調べてみると、それはどうやら『多聞院日記』天正十七年(1589)9月1日条の話らしい。
秀吉の小田原攻め出陣が天正十八年(1590)3月1日、旭姫の死去が同年1月14日ということで、だいたい半年くらい前の話ですか。思っていたより離れていませんね。まあ、時系列に齟齬は来たしていますけど。
それからこの件に関して言及されているブログを見つけましたので、ここで紹介させていただきます。


人質政策を小田原攻めと対応するものとしたドラマの筋書きは、概ね歴史的理解に沿ったものと言えそうですね。
このとき人質に応じた実例の確認できる範囲がかなり限られるという指摘は、意外な感じもしますが、一方ではさもありなんとも思います。諸大名がこぞって一度に人質を上洛させれば、もっと大きな話題となってしかるべきな気がしますし。屋敷地の問題などもありますから、徐々に段階を踏んで人質を出させたのではないでしょうか。全くの推測でありますが。そういえば『功名が辻』では、天正地震(1585年)後の段階で既に千代が京都に住している設定になっていたような。実際のところどうだったんでしょうか。この段階までは長浜城に居た可能性も高いと思いますが・・・ちょっと気になるところです。
次に徳川秀忠上洛の件ですが、織田信雄女との縁組の話がありましたね。すっかり忘れておりました。しかし祝言まで行われたとまでは認識しておりませんでした。信憑性はどうなんでしょう。まあ仮に結婚したといっても13歳と6歳ですし、たった半年後には織田信雄が改易されてしまうわけで、婚約解消かはたまた離婚か、などというのは些細な問題かもしれません。ただ、気になるのは祝言が行われたという1月21日は旭姫が亡くなった1月14日から1週間しか経っていないのですよね。徳川秀忠にとって旭姫は形式上とはいえ母にあたるわけですし、なんだか違和感が残ります。それとも初七日が明けるのを待って祝言を挙げた、と考えるべきなんでしょうか?
最後に東海道の諸城に置かれた在番衆の件について。秀忠の帰国との連動はまさに石田三成言うところの「駆け引き」ですね。いやむしろ「取り引き」と言うべきか。何にせよこの在番が、家康の関東転封と織田信雄改易をスムーズに行わせしめた最大の要因でしょう。勝負は酒を酌み交わす以前に決まっていたのでした(笑)。

山中城攻略戦

あ、あれ?!ひさびさの見せ場なのにこのあっさりぶりは一体・・・( ゚д゚)ポカーンとしているうちに終わっちまいました。屋内戦闘シーンのみだし。もはや屋外での合戦ロケを行うだけの資金が無いのか、はたまた関ヶ原合戦につぎ込むため敢えて涙を飲んだのか。まあしょぼいのは毎度のことではありますが、なんだかもう。
しかも一柳直末はおろか中村一氏すら登場しないとは。一柳直末に関しては僅かな可能性に期待を寄せていただけに過ぎませんが、ここで中村一氏をチラりとも出さないのは理解に苦しみます。何のためにキャスティングしたんだろう? その一方で副田甚兵衛を創作であれだけ取り上げているというギャップ。バランスを考えんかいコラー!(ぷんぷん)
さて件の山中城ですが、名前のとおり山の中にあります。東海道を城内に取り込んでおり、箱根越えを図る軍勢をここで食い止めるべく築かれた北条領国の西の防衛拠点です。


史跡アルバム紀行 - 東海【三島】山中城の写真等)


豊臣軍にとっては第一関門であり、かつここを落とせば一気に小田原城下まで兵を進めることが出来るということで、この緒戦は非常に大きな意味を持っていたと思われます。
山中城を半日で落としたことが、後北条氏に動きを取らせぬまま小田原城に封じ込めることに繋がり、比較的スムーズに後北条氏を制圧したことから、結果論ではありますがこの戦いで勝敗が決ったと言えましょう。
ちなみに北条領国のもうひとつの西の防衛拠点であった韮山城は、織田信雄を大将に細川忠興蒲生氏郷蜂須賀家政福島正則らの顔ぶれが攻め立てたものの3ヶ月持ちこたえており、もし山中城が同様に持ちこたえていれば少しは違う結果になったかもしれません。というか後北条氏が勝つにはそれ以外のシナリオは無いのですけれど。


話は戻って山中城攻めですが、豊臣秀次勢が大手を受け持ち、その先鋒は中村一氏と一柳直末と見られ、山内一豊は彼らに続いたようです。さらに堀尾吉晴田中吉政が続き、秀次宿老の面々で固められています。また徳川勢が搦め手の西の丸方面を攻撃しています。城は半日で落ちたわけですが、北条方の防戦も凄まじく、一柳直末が銃弾を浴びて戦死。山内勢でも山内康豊が手傷を負ったようですが、ドラマでは何事もなくピンピンしておりました。
ともかく一柳直末が戦死したということは、同僚である山内一豊にもその可能性があったということで、「運」を語るのであればこの件を挿れてこそだと思うんですけどねぇ。。。



今回はヒートアップしたせいか疲れたのでこの辺にしておきます(+_+)
細かい出来事やネタが詰め込まれていたので勿体ないとも思いますが・・・誰か代わりにやってくれる方はいないかしら。或いは既にどこかでやってる方とか ('' ) キョロ ( '') キョロ
とりあえず、次回・次々回も都合上省エネ版になると思いますが、お目こぼしの程をm(__)m