日本史日誌

いまは旅行記で精一杯だけど・・・

源頼朝像/米倉迪夫/平凡社ライブラリー

源頼朝像 沈黙の肖像画 (平凡社ライブラリー)

源頼朝像 沈黙の肖像画 (平凡社ライブラリー)

  • 序、神護寺源頼朝像の今
  • 1、肖像画の場―世俗人物像の場合
  • 2、頼朝像の顔かたち、姿かたち
  • 3、神護寺画像の名前―像主を求めて
  • 4、頼朝像の画風と制作年代
  • 5、「源頼朝」像は何を語りはじめるのか


本書の旧版は1995年刊行。
神護寺蔵の伝源頼朝像・伝平重盛像・伝藤原光能像、いわゆる神護寺三像の像主比定に対して疑義を呈し、それぞれを足利直義足利尊氏足利義詮に比定する説を掲げ、近年の論争の先駆けとなった本です。


結構初めて知ることが多くて興味深い。
頼朝像への比定の根拠のひとつとなっているのが『大英博物館源頼朝像』だということ。その『大英博物館源頼朝像』の由来が不詳であるということ。
伝藤原光能像は明治時代以前、藤原成範*1像ともされていたということ。
源頼朝像は室町時代制作の『夢窓疎石像(妙智院蔵)』と類似していること。顔のパーツの描き方が似ている。
それから以前、『絵画史料で歴史を読む』を読んだときに思った、「伝源頼朝像が足利直義像で伝平重盛像が足利尊氏像であるというお馴染みの説は、逆の組み合せもありうるのではないか」という疑問ですが*2、これについては左右向かい合わせの像は、右側の像(向かって左向き)の方が高位なのだそうです。つまり左向きの伝平重盛像の方が高位であり、それゆえ足利尊氏像に比定されるとのこと。


→(参考)新日曜美術館/国宝「伝源頼朝像」の謎を追う/NHK教育 - 日本史日誌