信長は謀略で殺されたのか/鈴木眞哉,藤本正行/洋泉社新書y
信長は謀略で殺されたのか―本能寺の変・謀略説を嗤う (新書y)
- 作者: 鈴木眞哉,藤本正行
- 出版社/メーカー: 洋泉社
- 発売日: 2006/02
- メディア: 新書
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- 第1部、本能寺の変は「謀略事件」だったのか?
- 第1章、良質史料で描く「信長の最期」
- 第2章、謀反の成否を分けた光秀の「機密保持」
- 第3章、事件前後の光秀の動向
- 第4章、本能寺の変はなぜ起きたのか?
- 第2部、さまざまな「謀略説」を検証する
いいぞ!いいぞ!
世に蔓延る謀略史観に喝じゃ!
本能寺の変に限らず、歴史上の事件に謀略説は付き物といっていいでしょう。ただ、ほとんどの謀略説は根拠が無いか又は薄い。そもそも、そうそうなんでもかんでも筋書き通りに運ぶわけがなく、想定外のことが起こるのが世の習いってものじゃないでしょうか。
それでもネタとして楽しむ分には構わないと思いますけど、如何にも「史実」のように扱うことには問題がある。本書でもエピローグでNHK批判を展開していますが、NHKの教養番組でそれらしく取り上げられれば、そうだと信じ込んでしまう人も多いでしょう。大河ドラマでさえそのような傾向があるのですから、NHKはその強すぎる影響力を自覚してもらいたいもの。個人のブログや2ちゃんねるで妄説を垂れ流しているのとは訳が違うんですから。
そして謀略説は好奇心をくすぐるうえに、謀略説を用いれば簡単に「もっともらしく」説明できるという便利なものなので、学者ですらその罠に陥ってしまう方もいるわけですが、謀略説に対してはもっと慎重な態度で臨んでほしいもの。史料の誤解釈や牽強付会で誤魔化そうだなんて言語道断ですよ。
我々、一般の視聴者・読者もこのようなマスコミ・学者に踊らされることのないように注意しないといけませんね。何事においても、と自戒を込めて。
それから、小和田哲男氏が「信長非道阻止説」なるものを唱えていることを知りました。明智光秀が信長の悪政や横暴を阻止するべく正義のために立ち上がったとするもので、氏が時代考証を担当する『功名が辻』がそのような展開を匂わせているのはそのためだったのか、と納得。そして小和田氏がそのような説を唱えていたことにガッカリ。