乳母の力/田端泰子/吉川弘文館
- 作者: 田端泰子
- 出版社/メーカー: 吉川弘文館
- 発売日: 2005/07
- メディア: 単行本
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うーん・・・基本的な、というか些細なところで誤りや疑問符のつく記述が目立ちます。私が気が付いたところを列挙しますと、
→『仏舎利相承記』の当該部分は後世の加筆*1。
- 北条義時の妻となった比企朝宗の娘「姫の前」が産んだ子の中に、泰時が入っている。
→北条泰時が生まれたのは寿永二年(1183)であるのに対し、義時と姫の前の婚姻は建久三年(1192)のこと。
→ここでいう「戦国大名大内氏」は中国地方に覇を唱えた大内氏だと思われますが、この大内氏と平賀義信の長男大内惟義に始まる大内氏との関係性は見当たりません。
→「冠者」は元服した成人男性のことですから、まるきり逆でしょう。
→通説では同一人物なのですが、何故別人とするのかの理由について何ら記していない。
些細なことですが、これだけあると本書全体の信頼性にも関わってくると思う。鎌倉時代前期の内容に偏っているので、単にここだけ著者の弱点という可能性もありますが、私自身の知識・理解度・眼力にも偏りがありますので、やはり本書を読む際には注意したほうが無難かと思います。