時代劇と風俗考証／二木謙一／吉川弘文館

時代劇と風俗考証―やさしい有職故実入門 (歴史文化ライブラリー)

大河ドラマの風俗考証といえばこの人。
風俗考証にはさほど関心がないのですが、大河ドラマの舞台裏エピソードに惹かれて購入。

あまり分量は多くないものの、『義経』をはじめとした大河ドラマ制作に関するエピソードはやはり興味深い。
見る方はいつも何気なく見ていますが、衣装や調度、言動など結構細かいところにまで考証が及んでいて、その苦労が偲ばれます。とはいえ、考証が必ずしも活かされるというわけでもなく、その辺の事情も面白い。
なかでも衣装の調達は難しいらしく、そのために登場人物を少なくすることもあるそうです。「あの人が出てこない、この人が出てこない」という不満はよく耳にしますし、私もしばしばそう感じることがあります。ただそれについては、登場人物が多いと誰が誰だか分かりにくくなるので、そのために配慮しているのだろう、と勝手に推測していたのですが、このような理由もあろうとは。なんだかちょっぴり切ない感じ。
そしてどうしても登場させるときは、不相応な衣装で何とかやりくりしている模様。ますますもって切ない。