足利直冬/瀬野精一郎/人物叢書
- 作者: 瀬野精一郎
- 出版社/メーカー: 吉川弘文館
- 発売日: 2005/05
- メディア: 単行本
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- 第一、歴史への登場
- 第二、西国への下向
- 第三、観応の擾乱
- 第四、孤立化する直冬
- 第五、望みなき戦の日々
- 第六、中国地方への転進
- 第七、上洛と没落
- 第八、終焉への道
人物叢書三連投なり。
それにしても足利直冬が評伝になるとはねー、さすがです吉川弘文館。グッジョブ! しかも実父足利尊氏や養父足利直義に異母弟足利義詮らを差し置いて、足利氏では足利義満・足利義昭に次いで三人目というのも、意外だけどらしくていいかな。
本書を読んでみて、改めて激動の生涯を実感。それでいて生没年が諸説分かれていたりと、少年期と後半生がハッキリしないアンバランスさがまた何とも怪しい魅力を醸し出している・・・のかもしれない。(^^;
まあそれはともかく、彼が歴史の表舞台にいた期間は思ったより短いですね。正平三年・貞和四年(1348)のデビュー戦(初陣)から正平十年・文和四年(1355)の上洛と没落に至る8年間。本書もこの8年間に紙幅のほとんどを費やしていて、その前後は言及も少ないし推測を交えてなんとか構成しており、やはり史料がほとんどない模様。
それから、たぶん小説やドラマなどの影響で、足利直冬に対して「風雲児」のようなイメージを抱いていましたが、本書を読む限りではむしろ時代に翻弄された感が強いですね。
おまけに著者は将としての才に関して手厳しい評価をしております。敵前逃亡を2度までしてはむべなるかな。