日本史日誌

いまは旅行記で精一杯だけど・・・

得宗専制政治の論理/細川重男/年報三田中世史研究(9号)

まずはじめに「鎌倉北条氏得宗は、なぜ将軍にならなかったのか、あるいはなれなかったのか」という設問を投げかけ、それに対して北条義時武内宿禰再誕伝説を紹介し、

得宗は、武内宿禰の再誕である北条義時の直系なるが故に、鎌倉将軍の「御後見」として、鎌倉政権と天下を統治する。

として、北条氏の政権支配の正統性は将軍の後見たることにあるとし、得宗は将軍になる必要もなかった、と結論づけている。


なるほどとは思うのですが、本論文は北条時宗政権期についての検討ということで、これはあくまで北条義時死後の伝説に基づいた論理。よって代を重ねてそのような論理が根付くことは理解できますが、それでは肝心の北条義時期はどうなるのかということになる。そうなると、やはり従来のような「家柄が低い」ゆえに「貴種」を担いで実権を握る方針を採った、と考えるのが妥当なように思われる。
そして、その後に後付論理で正統性を固めた、というのが自然な流れではないでしょうか。