日本史日誌

いまは旅行記で精一杯だけど・・・

悲劇のヒーロー 豊臣秀頼/森田恭二/和泉書院

悲劇のヒーロー 豊臣秀頼 (IZUMI BOOKS)

悲劇のヒーロー 豊臣秀頼 (IZUMI BOOKS)


思ったよりページ数が少ない。値段もそれほどではないので相応のようにも思うが、この本の位置づけはどうなんだろう? 「IZUMI BOOKS」というシリーズの一冊らしいのだが、このシリーズもまたよく分からない。他にどんな本が出ているのだろう?


それはさておき内容はというと、多くの史料を引用しているのですが、紙数の割にテーマが広いのでややザックリ感は否めない。
とはいえ、秀頼発給文書の検討から、徳川家と豊臣家が並び立つ「二重公儀体制」論を否定している点が興味深い。「二重公儀体制」はあくまで権威の関係において、という主張を読んで「権門体制論」が思い浮かんだ。
「二重公儀体制」と中世前期における「権門体制論」、どちらも実態論ではない観念論で、イメージがリンクする。実態論と観念論は相容れないところがあるから、分けて論じるべきなのかもしれないなぁ。


ところで、本書では豊臣秀頼を「悲劇の英雄(ヒーロー)」と位置づけているのですが、「悲劇の人」には異論ないけど、「英雄(ヒーロー)」とする点はちょっと賛同しかねる。源義経織田信長のようないわゆる英雄性というものが、秀頼からはどうにも読み取れない。