悲劇のヒーロー 豊臣秀頼/森田恭二/和泉書院
- 作者: 森田恭二
- 出版社/メーカー: 和泉書院
- 発売日: 2005/02
- メディア: 単行本
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- 第1章、豊臣秀頼の誕生
- 第2章、豊臣秀吉の朝鮮出兵
- 第3章、豊臣秀次の政権
- 第4章、豊臣秀次の印判状
- 第5章、豊臣秀頼と徳川幕府
- 第6章、大坂の陣─秀頼滅亡
- 第7章、豊臣秀頼の書状・印判状
- 終章、なにわのことは夢のまた夢
思ったよりページ数が少ない。値段もそれほどではないので相応のようにも思うが、この本の位置づけはどうなんだろう? 「IZUMI BOOKS」というシリーズの一冊らしいのだが、このシリーズもまたよく分からない。他にどんな本が出ているのだろう?
それはさておき内容はというと、多くの史料を引用しているのですが、紙数の割にテーマが広いのでややザックリ感は否めない。
とはいえ、秀頼発給文書の検討から、徳川家と豊臣家が並び立つ「二重公儀体制」論を否定している点が興味深い。「二重公儀体制」はあくまで権威の関係において、という主張を読んで「権門体制論」が思い浮かんだ。
「二重公儀体制」と中世前期における「権門体制論」、どちらも実態論ではない観念論で、イメージがリンクする。実態論と観念論は相容れないところがあるから、分けて論じるべきなのかもしれないなぁ。
ところで、本書では豊臣秀頼を「悲劇の英雄(ヒーロー)」と位置づけているのですが、「悲劇の人」には異論ないけど、「英雄(ヒーロー)」とする点はちょっと賛同しかねる。源義経や織田信長のようないわゆる英雄性というものが、秀頼からはどうにも読み取れない。