日本史日誌

いまは旅行記で精一杯だけど・・・

その後の慶喜/家近良樹/講談社選書メチエ

その後の慶喜 (講談社選書メチエ)

その後の慶喜 (講談社選書メチエ)

  • 第1部、静岡時代の徳川慶喜
    • 第1章、恭順表明から静岡に至るまで
    • 第2章、言動を律する趣味人―明治初年代
    • 第3章、取り戻されたゆとり―明治10年代
    • 第4章、身内・知己の死と新しいものへの関心―明治20年代
  • (つづく)


昨秋刊行された『徳川慶喜 (幕末維新の個性)』の続編。前著では、徳川慶喜が政治の表舞台から去るところまでを追ったが、今度は明治維新後の徳川慶喜がテーマです。
維新前に比べて陽の当たらなかった維新後は、研究が盛んでなく、書籍・論文も格段に少ない。それでも史料はあるそうなのだが、肝心の慶喜本人があまり多くを語らず、その心情を書き記したものが少ないため、状況を丹念に追うことによって心情を探るという手法が採られ、限界があるとは思うが内容としては興味深いものになっている。


で、個人的に一番気になったのは徳川の宗族会のこと。維新後、徳川一門の十四家からなる宗族会が構成され、投票にて宗族長を選出したという。しかもこの宗族会は構成メンバーに対して、静岡に逼塞中の徳川慶喜家は勿論のこと徳川宗家にも及んでいたそうな。
しかし詳しいことまでは不明なのか、記述はあっさりしたもの。もっと具体的なことが知りたいな。活動期間とか活動内容とか・・・。構成メンバー十四家も気になる。記述にあるのは旧御三家に旧御三卿、それと水戸家連枝の讃岐高松松平家の七家。宗家も入るのか? 高松松平が入るということは、他の御三家連枝(美濃高須・伊予西条・陸奥守山・常陸府中・常陸宍戸の各松平家)も入りそうな。松平春嶽や、宗家後見人・松平確堂の越前系松平諸家はどうなんだろ。