遠いうた/徳川元子/文春文庫
- 作者: 徳川元子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2005/01
- メディア: 文庫
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旧大垣藩主の戸田伯爵家に生まれ、旧御三卿の田安徳川伯爵家に嫁がれた女性による自叙伝。著者は既に故人で、本書も昭和58年の刊行本が先月文庫化されたもの。
思い出話は聞くのも読むのも楽しいし、それが歴史上の事象や人物に絡んでくるとなるとなおさら。
婚家田安徳川家の話が少ないのは残念だが、実家戸田家の話、特に実母亡き後引き取られた祖父母*1との暮らし、また祖母から聞いた曾祖父岩倉具視の話などが興味深い。
また祖母極子はその美貌*2ゆえに、好色の伊藤博文から仮装舞踏会のとき迫られて、何とか逃げだすも醜聞として広まってしまった事件(ファンシーボール事件)があるが、その件も祖母から聞いた話として載っていて、千円札(当時)の伊藤博文を見る度に特別な感懐が湧いてくると記している。いったいどのような顔して自らの醜聞を孫娘に語ったのだろうか、すごく気になる。