日本史日誌

いまは旅行記で精一杯だけど・・・

満済/森成暁/ミネルヴァ書房


ミネルヴァ日本評伝選の一冊。
三宝院満済(さんぽーいんまんさい)というと、足利義持足利義教期に活躍した政僧・黒衣の宰相で、足利義教を将軍に選んだ籤引きの発案者で責任者だった、ということくらいしか知らずに読み始めました。


満済の出身は摂家のひとつ二条家の傍流・今小路家。そして足利義満の猶子となるのだが、他の事例が摂家である近衛家一条家あるいは清華家である徳大寺家からといった中で、中流公家の今小路家からというのは異例のことのようだ。なぜ満済に異例ともいえる待遇が与えられたのかという疑問が湧くが、「満済の義母にあたると思われる女性が足利義満の正室日野氏に仕えていたことが影響しているのではないか」とする本郷和人氏の論考を引用している。
何にせよ、足利義満の猶子となったことが後に彼を大きく羽ばたかせる契機になったことは間違いないようで、しかも足利義満から多大なバックアップを受けていたという。満済といえば足利義持足利義教期の活躍が目立つが、すでに足利義満の引き立てがあって、ただその若さゆえであろうかまだ政僧としての活躍はなかったようだ。