日本史日誌

いまは旅行記で精一杯だけど・・・

「日本国第一の大天狗」とは?

夜盗虫の朝寝坊』さんが興味深い指摘をされています。
いやはや、軽い気持ちで「大天狗」だなんて書いてしまって*1恥ずかしい限り。(^^;


そして、これを読んでふと思い出したことが。
たしか少し前に、この「大天狗」は後白河法皇ではなく院近臣高階泰経を指すものだ、という内容の記述がある本を読んだことがあったのだ。しかし一体どの本にそれが書かれていたのか思い出せず、本棚をひっくり返して探したが見あたらない。
あきらめかけていたところで、ふと手元*2に置いてある本をめくると、それだった。岩波新書の『源義経 (岩波新書)』。気にとめたことをちゃんとメモしておかないからこうなる、という典型的な例。

義経らの謀反を天魔のなせることというが、天魔は仏法を妨げるものである。頼朝は朝敵を滅ぼし、政治を君に戻した忠ある者であるから、天魔によるというのは全く理屈が通らない。頼朝を追討する院宣を出させたものこそが天魔であり、その日本第一の大天狗なるものはほかにはいない。

以上が、『源義経 (岩波新書)』における頼朝の書状の内容の意訳。これに続いて以下の見解を述べている。

「日本第一の大天狗」という表現については、これまでの多くの見解は後白河院をさすと考えられてきたが、文脈からしても、また頼朝と後白河院との関係からしても、院をこう表現したとは考えがたく、泰経をさすと考えるべきであろう。

若干補足しておくと、泰経は後白河院近臣で義経と親しかった高階泰経。泰経から「頼朝追討の院宣」についての弁明の使者が送られ、それに対する返書が上記の「大天狗」の書状。
で、「文脈からしても」っていうけれど、いまひとつよく分からないし、これだけの説明では納得しがたい。そもそもこの意訳は正しいのかどうか。