聖徳太子虚構説を排す/田中英道/PHP研究所
- 作者: 田中英道
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2004/08
- メディア: 単行本
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読んでいて気付いた。いままで非実在説にもやもやしたものを感じていた理由、それは史料・業績の否定が即そのまま非実在・架空ということに結びつくわけではないということ。なんかいまさら当たり前のことだけど、スッキリ晴れ晴れした思い。太子の問題については総論と各論を分けてみてゆこうと思う。
さて、肝心の本書の内容ですが、書名のとおりでございます。
章ごとに見ていくと、一章は法隆寺の再建非再建論争について非再建の立場から述べているが、これは説得力があるような気がする。なんと言ってもあの柱の年代測定が・・・なぁ。でも若草伽藍と西院伽藍(現在の法隆寺)の位置が被らないといってるけど、そうじゃないという説と判断つきかねる。
二章では天寿国繍帳と法華義疏の両史料を太子関連のものと即断している。が、天寿国繍帳は美術の観点からなので何とも言い難いし、義疏については論理に飛躍が・・・。
三章は・・・いらないんじゃ? ご自分もイデオロギーに基づく歴史観は破産していると述べているのに、太子信仰に染まりきっているのは如何なものか?
四章の『聖徳太子はいなかった (新潮新書)』批判は、これを読んでいないのでアレですが、こちらはまた一層論理の飛躍がひどいみたいで、なんかもう今更買って読む気も起こらず。